ゆきの工房・ノベルのイクシア・Hシリーズ:グッドナイト5 しっぽりと

ノベルのイクシア
Hシリーズ
グッドナイト5 しっぽりと
掲載日:2020/10/23
著者:黄金のラグナデーモン108世 様
「ようこそお越しくださいました、お客様」



ガラガラと音を立てながら引き戸を開けると、紫色の和服に身を包んだ美しい女性が三つ指をついて彼を出迎えた。




「私、当覇堂旅館の若女将を務めさせていただいております、覇堂サヤと申します。以後お見知りおきを」



「こちらこそよろしくお願いします」


















「ふぅ~っ、食った食ったぁ……」



鹿威(ししおど)しの音と秋の虫達の合唱が響く畳敷きの部屋。

そこで彼―――並樹レイジは左手を畳につけ、右手で丸く膨らんだ腹をさすりながら満足げに呟く。





商店街の福引で見事金の玉―――すなわちこの旅館のチケットを引き当てた彼は期待に胸躍らせこの地を訪れた。



まず風呂に浸かり、日々積もり積もった心身の疲れを洗い流した。



そして部屋へ戻って山海の珍味を存分に堪能し、現在に至るのである。



「期待しないでやった福引でこんないいとこのタダ券が手に入るなんてな……神様ってのはいるもんだねぇ。若女将はほんっと美人だし、最高だよ」





そんな呟きが終わると同時に入口のドアが開き、若女将が入ってきた。




「器、お下げしますね」




そう言うと彼女は意味深な笑みを浮かべてレイジを見た。





「……もしかして今の聞こえてました?」


「ふふふ。とても嬉しかったですよ」



その一言で、レイジは顔を赤くして俯いた。



「それより食後にマッサージなどはいかがでしょうか?」


「え?」




あっという間に食器を盆に乗せ終えた彼女の思いがけない発言に、レイジは素っ頓狂な顔をした。




「当旅館のサービスです」



「そ、そうですか」



心臓の脈打つ音が大きくなり、外からの音を遮断した。




「それとも……お嫌……ですか……?」


少し潤んだ目でそう問われた瞬間、断るという選択肢は粉々に砕け散った。








「はい!是非」



「ふふ、ありがとうございます」




そう言って彼女は嬉しそうな笑顔でテキパキと布団を敷き、レイジはそこへうつ伏せになった。





「最初は手から致しますね……」




まず親指と人差し指の骨が交わる辺りを押した。

すると何とも言えない気持ち良さがレイジの全身を駆け巡った。



「おおっ……」


「ここは合谷(ごうこく)と言って、万能ツボと呼ばれている場所なんですよ。お疲れになったときはご自分で押してみるといいですよ」


「参考にさせてもらいます」



手のツボをひとしきり押し終えると、今度は耳のツボを押し始めた。
曰く、耳にはたくさんのツボがあるのだとか。


彼女の柔らかな指先の感触も相まって、耳マッサージが終わる頃には天に昇るような気分になっていた。



その後は肩、背中、太腿、ふくらはぎ、足の裏と続いていった。



「お体のあちこちがかなりこってますよ。よっぽどお疲れなんですね」



その蕩けるような心地良さに微睡み始めたレイジには彼女の言葉は届かなかった。



(全身がぐにゃぐにゃになるようだなぁ……ん?)




足裏が終わった直後、若女将が腰の中心当たりを押した時、少し意識が戻った。




「ここは男の人専用のツボなんですよ」




最初の合谷以来、個々のツボの説明をせずマッサージに勤しんでいた若女将が言った。





「へぇ~どんなツボで?」


レイジはふやけきった声で問いかけた






「大事なところがとっても元気になるツボですよ。効き目が出るまで少しお時間をいただきますけど」



そのフレーズでパチリと目が覚めた。



レイジとて、既に子供ではない。
彼女の言葉が何を意味するかを瞬時に察した。



体を起こすと、すぐ目の前に少し赤みのさした若女将の顔があった。
和服が少しはだけており、そこから谷間が覗いていた。






「一目見て……あなたのことを好きになってしまいました」



突然の告白に、レイジの喉がゴクリと鳴った。



「……私のこと、お嫌いですか?」



その問いにレイジはぶんぶんとかぶりを振り、端的に気持ちを伝える。



「ほ、本当……ですか……?」



「……貴女みたいに綺麗な人に好かれるなんて、光栄なことだと思ってます」



「ふふ、嬉しいです」



微笑む彼女が目を閉じ、顔を寄せてきた。

レイジはその意図を察し、唇を重ねた。

そして彼女の銀髪を優しく撫でた。
サラサラした感触が心地よかった。





やがて互いの舌と唾液を絡ませる、ついばむような深いキスへと発展する。




しばらくするとお互い苦しくなって口を離す。
光る糸が伸びるのと同時にレイジの息子がムクムクと膨らみ始めた。




「あの……その……」



レイジが気まずそうに言い淀んでいると、サヤが和服を大胆に脱ぎ去った。

それから左手の親指と人差し指を膣に入れ、くちゅくちゅといやらしい音を立ててから出す。

そしてレイジの目の前で二つの指で透明の糸を引き、自分の中が十分に濡れていることを示す。


その淫らな姿が、レイジの興奮を一層強くする。




「遠慮しないでください。あなたを受け入れる準備はもう、出来ていますから……」



「それじゃあ、遠慮なく……」





「その前に!」


いざことに及ぶべくズボンを脱ごうとすると、右掌を前に向けて静止の意思を表した。




「名前を呼んでいただけませんか?サヤって……呼び捨てで……」



「じゃあサヤ……も俺のこと名前で呼んでくれよ」



「わかりました。レイジさん」




レイジが後退することで空いた空間へ一糸纏わぬサヤが寝そべり、M字型に脚を開く。



「それじゃあ……いくぞ……」


「はい……」




ゆっくり挿れるつもりだったが、あまりにサヤの中が濡れていたので少し勢いが付きすぎてしまった。




「……っ!」





サヤが歯を食いしばり、苦悶の表情を浮かべる。
間もなく股間から彼女が今日この日まで純潔だった証が零れ、白い布団に赤い染みを作った。





「大丈夫か?サヤ」



「大丈夫です……痛みはありますけど……それよりもずっとずっと嬉しいん……です」



目にうっすらと涙を浮かべながらも、彼女は懸命に笑みを浮かべていた。



「俺も……サヤと一つになれて嬉しいよ」



「動いてください」



「わかった」



サヤに促されるまま、ゆっくりとピストンを開始する。
たっぷりと濡れている上に、良く締まる彼女の膣は極上の代物であった。



「あっ……!んっ……!くっ……!」



逸物が前後する度、サヤは苦悶とも喘ぎともつかない声を上げる。



「レイジさん……のが……私の赤ちゃんの部屋の入口を……ゴンゴン……ってぇ……!」



「サヤの……俺のに絡みついて……すごく……いいぞ」



「もっと……突いて……下さい!もっともっと……レイジさんを感じたいんです!」



「ああ……俺ももっとサヤを……気持ちよくさせたいから……な!」



水音の響く中、そのままピストンを続けているとレイジのペニスがぷくりと膨らみ、限界が近いことを2人に知らせた。



「サヤ……俺……もうっ……!!」



「どうぞっ!私の中にっ!出してくださいっ!レイジさんの……精液を!!一滴残らず……全部!!」





サヤの言葉を合図とし、レイジはありったけの白い愛情を注ぎこんだ。
レイジの下で彼女の肢体が激しく跳ねる。



「レイジさんの……とても温かくて……とっても気持ちいい……です」



荒く息をつきながら、蕩けた表情でサヤが告げた。



「気に入ってくれて光栄だよ」



「レイジさん……その……お願いがあるのですが……」



「ん?言ってごらん」



「もう一度……頭を撫でながら……キスしてほしいです」



「お安い御用さ。でも、サヤは本当にキスが好きなんだな」



「だって、レイジさんとのキス……病みつきになりそうなんですもの……」



「はは、男冥利に尽きるよ」



再び鹿威しや虫の声が耳に届くようになった部屋で彼女の愛らしい願いを叶えたところで今回の夢に漆黒の幕が下りた。






















「やっと見れたな……サヤの夢。こいつのお陰かな?」



そう呟くとレイジは右手を見る。


そこには数本の銀色の糸が握られていた。
今回の為に、事前にサヤの使用している枕や櫛から入手しておいた彼女の毛髪である。



『本人に関係するものが近くにあればその夢を見られるかも』と、気休め程度なのは百も承知でやってみたわけなのだが……



「にしても夢とはいえもう一度サヤの処女を味わえるとはな……侮れないなぁ、グッドナイト」




そんな感動に浸っていると、不意に部屋のドアがノックされた。



「レイジさん、朝ご飯ですよ」



「サヤ、おはよう」



「起きてたんですね」



怪訝そうにレイジの顔を覗き込んだ。



「レイジさん、今朝はとっても機嫌がよさそうですが……何か良い夢でも見られたのですか?」



「……ああ、最高の夢さ」



後日和服を着せて、『再現』させてみるのもいいかもしれない。


割と真剣にそんなことを考えつつ、レイジは当の本人と朝餉(あさげ)の席へ向けて歩みだすのであった。