ゆきの工房・ノベルのイクシア・Hシリーズ:白銀の桜吹雪

ノベルのイクシア
Hシリーズ
白銀の桜吹雪
掲載日:2021/04/16
著者:黄金のラグナデーモン108世 様
ある春風の爽やかな日。


覇堂神社にある小屋から更に奥……


レイジとサヤは森の中を歩き続けていた。





「なぁサヤ、そろそろどこへ行くのか教えてくれないか?」


かれこれ1時間ほど行き先を告げられないまま歩かされているレイジがぼやくと


「着くまで内緒にさせてください、もう少しですから」


黒いバックパックを担いだサヤがなだめる様に言った。




しかし、それはその場凌ぎの虚言ではなくれっきとした事実となってレイジの前に現れた。
それまでとは打って変わって開けた場所へ出た瞬間、レイジは僅かな時間とはいえ呼吸も瞬きさえも忘れた。




そこの中央には樹齢何年か想像もつかない桜の大木が悠然と聳え立っていた。

その美しさはまるで別空間へ来たかのようにさえ感じられた。




「サヤ、ここは……」


大木を見上げながら呆けたようにレイジが問う。


「……子供の頃、修業が嫌になって逃げだしたことがあったんです」


サヤが太い幹に右手を当て、懐かしむような表情と声で語りだした。


「でも森の中で迷ってしまって……帰り道がわからなくなって泣いている所でこの木を見つけたんです」


何故だかレイジの脳内には見たことも無いはずの子供の頃のサヤの姿や、その時の光景がありありと思い描かれた。




「見ていると何故か安心して……そのまま寝てしまって……目が覚めたのは夜でした」



「どうやって帰ったんだ?」



「その後、なんとか家へ帰ろうと森の中をうろついている時に兄様が見つけて下さって家へ帰る事が出来たんです」



帰った後両親にこっぴどく叱られましたけどね、と悪戯っぽく笑って付け足した。



「そんなわけなので、ここを知っているのは私だけなんです」


(サヤにしてみれば子供の頃からの友人みたいなものかもな……)


レイジがそんなことを考えた時、春風が吹き大樹の枝達がさあっと音を立てた。

彼にはそれがサヤとの再会を喜んでいるようにも、自分達二人を祝福しているようにも見えた。



「もしかしてその後も度々ここへ来てたりしてたのか?」


「ええ。でも、対魔戦争があってからはすっかりご無沙汰でした」


「そうか」


「戦いが終わったら、この場所でレイジさんとお花見をしようって決めてたんです。でも……」


「でも?」


「さっき言ったとおりここへ来たのは久しぶりなので、もしかしたら……」


「なるほどな」


彼女は対魔戦争以来来たことが無いと言った。
つまりサヤのあずかり知らぬ間に魔獣によって思い出の地が荒らされ、自分を失望させる可能性があったということだ。


「俺をがっかりさせないために行き先を言わなかったわけか」


「すみません」


「いいよ。サヤと歩くのが嫌なわけじゃなかったし」


「そうですか?」




「さて。目的の場所に着いたんだし、その中身も教えてくれないかな?」


サヤの担いだバックパックを指さしながらレイジが言う。


「はい!只今!」


言われた彼女はまずシートを取り出して地面に敷き、次に大きな包みを取り出した。
それを開いて姿を現したのは2段重ねの黒い弁当箱だった。


最後に水筒を取り出してから、サヤは弁当箱の蓋を取った。



(ま、目的地がわかった時点で想像はついてたけどな)



「昨夜、作ったんです。お口に合えばいいのですが……」



そう言ってサヤは箸で卵焼きを摘まんでレイジの面前へ差し出した。
何も言わず、レイジはそれを一口かじった。


「どう……ですか……?」


レイジはしばし口の中で咀嚼し


「うん、すっごくうまいよ!」


愛する男から肯定的な感想を告げられた瞬間、不安げにしていたサヤはぱぁっと明るい笑顔の花を咲かせた。


「誰かにお弁当を作るのは初めてだったのですが……一生懸命心を込めて作ったので、レイジさんに美味しいって言って頂けて本当に……本当に嬉しいです」


サヤのその言葉が、レイジの胸に熱い物をこみ上げさせた。


「次はこちらをどうぞ……」











「ふぅー……食った食ったぁ……」



数十分後、存分に舌鼓を打ったレイジはシートの上に仰向けになり、腹をさすった。



「2人分としては少し多かったくらいなのに……」


「あんな美味しい物、勿体なさ過ぎて残すわけにはいかないよ」


「ふふ、ありがとうございます」



舞い散る桜吹雪をバックにしたその笑みにいつもとは違った魅力を覚えた。

美しい景色も、今のサヤの魅力を引き立てるだけのようにさえ感じるほどだった。



すると、当人がおもむろに服を脱ぎだした。


「ちょっ!サヤどうしたんだ」


最愛の人の唐突な奇行にレイジは目を丸くし、驚きの声を上げた。



「レイジさんとも長い付き合いですからね……どうせそうなると思ってましたから……」



動揺しきったレイジとは対照的にサヤは極めて冷静に言い放った。
彼女の視線を追ってみると、無意識の内に自身の股間でテントが張られていたことに気づいた。


「……言っておきますが、お弁当に催淫剤や精力剤を混ぜたりしてませんからね?」


「なんというか……ごめん」



気まずそうにするレイジを尻目にサヤは一糸纏わぬ姿となり、大木に手を突いてお尻を突き出すような恰好になる。




「さあ、どうぞ……」



「そういうことなら……」




合意を得たレイジは早速下の物を脱ぎ去り、逸物をサヤの膣へと差し込んだ。

サヤの中は既に濡れそぼっていて、怒張は滑るように入り込んだ。

その刺激によってサヤの体がビクリと跳ねた。



「……サヤもなんだかんだ言って、期待してたんだな」


「思い出深いこの場所で、レイジさんと繋がりたかったという感情が無かったと言えば嘘になります……」


「嬉しいことを言ってくれるねぇ。じゃあご期待通りに!」



辺りに水音を響かせながら、レイジは最愛の女性に腰を打ち付けた。



「あんっ!あうっ!レイジさん……レイジさん……!!」


レイジの逸物が子宮に達する度にサヤは喘ぎ声を上げる。



「もっと……私の中を……かきまわして……!」


「言われるまでもないさ……!!」



最愛の女性のリクエスト通りに腰の動きを激しくする。



「サヤの中……俺のに……絡みついてくる……!意外と貪欲だな……!!」


「そ……そんなこと……あぁんっ!!」



そのまま二人はしばらく、水音と喘ぎのデュエットを奏でていた。



(おおっ……!)



自身のペニスをサヤの中がより強く締め付けたことで、終極の時が訪れたのを察した。






「行くぞ!サヤ!」


「はい!レイジさんの……全部私の中に流し込んでください!!」




返事と同時に、レイジの男根が大量の精液をサヤの子宮へと送り込んだ。




「ふぁ……レイジさん……ありがとうございますぅ……」



息を荒くしたサヤが蕩け切った顔をレイジの方に向けて謝意を述べた。

ずっと後ろを向いていたので気づかなかったが、その口からは涎が垂れていた。



「私の中……レイジさんので一杯ですぅ……」



そう言い終えると同時に、再びレイジの腰が動き始めた。



「ひゃんっ!レイジさん!!」



「ごめん……まだ収まりがつかないんだ……」



「んああっ!今日のレイジさん……お盛んですぅ!!」



春の衣を纏う巨木が優しく見守る中、愛し合う者達の交わりはもうしばらく続いた……





























「う……ん……」



うっすら目を開けると、優しく煌めく銀の髪が目に入った。



「目が覚めましたか?」


その恋人の声で意識が完全に覚醒したレイジはムクリと体を起こした。


「あれ……俺、寝てた……のか?」


「はい。散々私の中に出した後、気持ち良さそうにグッスリと」


サヤはジト目で見つめながら言った。


言われてみれば流石にリナやルナと初めてした時ほどではないが、結構な回数出した覚えがある。


辺りはすっかり夜になり、天空には満月が輝いていた。
サヤの髪が煌めいていたのは月光の為だったのだ。



「すまなかったな……」


「いえ。私も気持ち良くしてもらいましたし、それに膝枕しながらレイジさんの寝顔を見るのが楽しかったですから」


「そ、そうか……それならいいけど……」



サヤの屈託無い笑みと答えに、レイジが照れて右頬を描くと同時に一陣の風が吹いた。


満月に照らされた桜吹雪は息を飲むほどに美しかった。



「……このまま夜桜見物ってのも悪くないかもな」



「せっかくですから、少し花を添えてみますね」



言いながらサヤは両手を何かを掬うような形にする。


するとその掌から銀色の小さな光が無数に湧き出してきた。


桜の花びらと星屑にも似た白銀の小さな光が交じり合って舞い散る様は『神秘的』と言う単語が陳腐に思えてしまうほどの美しさであった。


「サヤ、これは……」


「白銀世界の通り道の開き方をコントロールして、こういう事が出来るようになったんです」


「そうなのか……」




その後、サヤと深い縁を持つ二つの存在が織りなす芸術品のような光景を数分間堪能した。




「今日はありがとう。こんな素敵な花見は生まれて初めてだよ」


「私もです。こんなに幸せなお花見になったのはレイジさんのお陰です」


「また来年も一緒に来たいな」


「同感です」



そのまま二人は木にもたれかかって夜を明かす事になる。