ゆきの工房・ノベルのイクシア・本編シリーズ:名探偵の帰還
ノベルのイクシア
本編シリーズ
名探偵の帰還
「くそっ!!」
「新顔もおるようじゃが……多少改良したとはいえ、同じ手にかかるとはのう」
以前と同じ装置で動きを封じられたレイジ達を見たオグマの嘲笑が響く。
「果たしてそうかな?」
その瞬間、レイジ達は図らずもエミニオン本部の時と同じ事を思った。
聞こえる筈のない声が聞こえた、と。
あの時と異なるのはカレンとリナも同じ事を感じたという事。
それと同時に爆発が巻き起こり、装置を木端微塵に破壊した。
振り返ってその男を目にした瞬間、上記5人は目を疑った。
スーツ姿にサングラス……それは紛れもなく懺悔の洞窟で散ったはずの仲間。
「クウヤ!」
「よお、久しぶりだなレイジ」
「お前は何者だ!?」
「出来る名探偵……とでも名乗っておこうか」
言いながらクウヤは悠々とレイジ達に歩み寄る。
「本当に……クウヤなの?夢か何かじゃなくて?」
カレンが動揺しきった様子で問う。
「ああ、見ての通り。偽物でも他人の空似でもないさ。ま、俺自身助かるとは思ってなかったがな」
クウヤは語った。
自爆の威力が想像以上に弱い事と、懺悔の洞窟の地下に地下水脈があったことから奇跡的に一命を取り留めた事。
当分動けなかったが、回復した頃には既にエミニオンが崩壊していたこと。
レイジ達の居場所を探していたら今回の騒動を聞きつけたこと。
その説明を聞き終える頃にはルナが『歌い』終えていた。
「とりあえず戦えるまでには回復している。しかも秘められた力が覚醒したって手土産付きだ。改めてよろしく頼む」
「頼むなんて水臭いぞクウヤ。大歓迎さ」
レイジはクウヤが差し出した手をとり、固い握手をする。
「百万の援軍を得たような気持ちってこういう事を言うんですね」
「百万か……そりゃたっぷり働かないといけないな」
「ふん、誰だか知らんが小僧の仲間のようじゃな。装置など無くとも今のワシには殲滅の黙示録の力がある。軽くひねってくれるわ!!」
「そういうセリフは負けフラグなんだぜ、おっさん」
「そうね」
「ふむ、何となく言っていることはわかるぞ」
「私もです。兄様」
「オグマ、あの時俺達とセツナに言った事を覚えているか?」
「何ぃ?」
「……たっぷりと仕返ししてやる。俺達8人に倒される前に、遺言でも考えておけ!!」
その瞬間、ルナの喜びのソナタで強化されたレイジが瞬時に肉薄し、神風ノ刃がオグマの腹部を切り裂いた。
「ほざけ小僧が!!」
憎しみと怒りに燃える目でレイジを睨みつけ、攻撃を繰り出そうとするオグマの両の腕にナイフと銃弾が命中した。
「投擲のイクシア……久々に見たぜ」
「狙撃銃の腕も鈍ってないようね」
報復しようとオグマが振り向こうとした刹那、銀髪の兄妹が視界に飛び込んできた。
すかさず火炎を放つが、軽々と避けられる。
「ぬぅ……速いっ!!」
ただでさえ機動力の高い2人だが、今は韋駄天とリナの白ウサギの懐中時計で更に速度を高めている。
「霊峰!!」
「虎爪撃!!」
光を纏うサヤの拳と虎のようなカイの一撃が胸元に炸裂した。
またカイの一撃は怪力乱神で威力が増幅されていた。
「いつの間にこれほど補助イクシアを!?」
「さっき話している時にね」
「早い話がオグマ、あなたが耄碌(もうろく)したって事」
今度は左右から金髪の姉妹が放った光の輪と闇の球をもろに食らう。
「ぐぬ……図に乗るでないわぁ!!」
オグマの憎悪の声と共に雷を纏った無数の氷柱が辺り一帯に降り注いだ。
流石に速さだけで避け切れる数ではないので次々と被弾し、何人かは凍傷と感電を受ける事になる。
「エレメント・キュアライト!」
「ヒールライト!」
レミとルナの回復イクシアが発動し、外傷と感電・凍傷が癒されていく。
「お返しだ!!ファイアーストーム!!」
クウヤの声と共に放たれたのは猛火を伴う大竜巻だ。
切り傷と火傷を負い、オグマがよろめく。
そこへ更に弾丸が飛来し、オグマの眼前で爆発する。
「私も忘れないでよね!!」
「アイスバード!!」
「連炎の太刀!!」
続けてもう1組の……黒髪の兄妹の繰り出した氷の鳥と炎の刀の攻撃が決まる。
特に炎の攻撃は火傷を負っている魔人の体力を著しく減らした。
「灰塵ノ刃!!」
「羅生門!!」
レイジが返す刀で繰り出した斬撃の嵐と覇堂拳術高位の技の拳がそれぞれオグマの顔面と背中にクリーンヒットした。
波状攻撃に流石の魔人も膝をつき、頭を垂れた。
「馬鹿な……認めぬ……ワシは手に入れたのだぞ!!?殲滅の黙示録を……魔神達にも対抗し得るほどの力を……!!!」
それがたった8人の超越者を相手にここまで追い込まれている現実をオグマは受け入れる事が出来なかった。
「オグマ、遺言は考えたか!!?」
言われて顔を上げたオグマは目を見開いた。
火・氷・雷・風・光・闇そして無。
7つの属性・8つのイクシアが自身に向かって殺到していたからだ。
「ぬおおおおおお!!!」
閃光と爆風。
煙が晴れると、オグマの立っていた所にはちょっとしたクレーターが出来上がっていた。
「やったか!!?」
「いえ、転移術で逃げられたようね」
「そうか……」
リナの言葉にそう返してレイジはその場に大の字に寝ころんだ。
「とりあえず現状を説明してくれ。わからない事が多すぎる」
「俺も同感だな」
「では宿舎に戻りましょう」
「異議なし」
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「ああ、ありがとうレミ」
「兄様……」
「すまないサヤ」
2人の兄が妹の肩を借りて歩き出す。
「新顔もおるようじゃが……多少改良したとはいえ、同じ手にかかるとはのう」
以前と同じ装置で動きを封じられたレイジ達を見たオグマの嘲笑が響く。
「果たしてそうかな?」
その瞬間、レイジ達は図らずもエミニオン本部の時と同じ事を思った。
聞こえる筈のない声が聞こえた、と。
あの時と異なるのはカレンとリナも同じ事を感じたという事。
それと同時に爆発が巻き起こり、装置を木端微塵に破壊した。
振り返ってその男を目にした瞬間、上記5人は目を疑った。
スーツ姿にサングラス……それは紛れもなく懺悔の洞窟で散ったはずの仲間。
「クウヤ!」
「よお、久しぶりだなレイジ」
「お前は何者だ!?」
「出来る名探偵……とでも名乗っておこうか」
言いながらクウヤは悠々とレイジ達に歩み寄る。
「本当に……クウヤなの?夢か何かじゃなくて?」
カレンが動揺しきった様子で問う。
「ああ、見ての通り。偽物でも他人の空似でもないさ。ま、俺自身助かるとは思ってなかったがな」
クウヤは語った。
自爆の威力が想像以上に弱い事と、懺悔の洞窟の地下に地下水脈があったことから奇跡的に一命を取り留めた事。
当分動けなかったが、回復した頃には既にエミニオンが崩壊していたこと。
レイジ達の居場所を探していたら今回の騒動を聞きつけたこと。
その説明を聞き終える頃にはルナが『歌い』終えていた。
「とりあえず戦えるまでには回復している。しかも秘められた力が覚醒したって手土産付きだ。改めてよろしく頼む」
「頼むなんて水臭いぞクウヤ。大歓迎さ」
レイジはクウヤが差し出した手をとり、固い握手をする。
「百万の援軍を得たような気持ちってこういう事を言うんですね」
「百万か……そりゃたっぷり働かないといけないな」
「ふん、誰だか知らんが小僧の仲間のようじゃな。装置など無くとも今のワシには殲滅の黙示録の力がある。軽くひねってくれるわ!!」
「そういうセリフは負けフラグなんだぜ、おっさん」
「そうね」
「ふむ、何となく言っていることはわかるぞ」
「私もです。兄様」
「オグマ、あの時俺達とセツナに言った事を覚えているか?」
「何ぃ?」
「……たっぷりと仕返ししてやる。俺達8人に倒される前に、遺言でも考えておけ!!」
その瞬間、ルナの喜びのソナタで強化されたレイジが瞬時に肉薄し、神風ノ刃がオグマの腹部を切り裂いた。
「ほざけ小僧が!!」
憎しみと怒りに燃える目でレイジを睨みつけ、攻撃を繰り出そうとするオグマの両の腕にナイフと銃弾が命中した。
「投擲のイクシア……久々に見たぜ」
「狙撃銃の腕も鈍ってないようね」
報復しようとオグマが振り向こうとした刹那、銀髪の兄妹が視界に飛び込んできた。
すかさず火炎を放つが、軽々と避けられる。
「ぬぅ……速いっ!!」
ただでさえ機動力の高い2人だが、今は韋駄天とリナの白ウサギの懐中時計で更に速度を高めている。
「霊峰!!」
「虎爪撃!!」
光を纏うサヤの拳と虎のようなカイの一撃が胸元に炸裂した。
またカイの一撃は怪力乱神で威力が増幅されていた。
「いつの間にこれほど補助イクシアを!?」
「さっき話している時にね」
「早い話がオグマ、あなたが耄碌(もうろく)したって事」
今度は左右から金髪の姉妹が放った光の輪と闇の球をもろに食らう。
「ぐぬ……図に乗るでないわぁ!!」
オグマの憎悪の声と共に雷を纏った無数の氷柱が辺り一帯に降り注いだ。
流石に速さだけで避け切れる数ではないので次々と被弾し、何人かは凍傷と感電を受ける事になる。
「エレメント・キュアライト!」
「ヒールライト!」
レミとルナの回復イクシアが発動し、外傷と感電・凍傷が癒されていく。
「お返しだ!!ファイアーストーム!!」
クウヤの声と共に放たれたのは猛火を伴う大竜巻だ。
切り傷と火傷を負い、オグマがよろめく。
そこへ更に弾丸が飛来し、オグマの眼前で爆発する。
「私も忘れないでよね!!」
「アイスバード!!」
「連炎の太刀!!」
続けてもう1組の……黒髪の兄妹の繰り出した氷の鳥と炎の刀の攻撃が決まる。
特に炎の攻撃は火傷を負っている魔人の体力を著しく減らした。
「灰塵ノ刃!!」
「羅生門!!」
レイジが返す刀で繰り出した斬撃の嵐と覇堂拳術高位の技の拳がそれぞれオグマの顔面と背中にクリーンヒットした。
波状攻撃に流石の魔人も膝をつき、頭を垂れた。
「馬鹿な……認めぬ……ワシは手に入れたのだぞ!!?殲滅の黙示録を……魔神達にも対抗し得るほどの力を……!!!」
それがたった8人の超越者を相手にここまで追い込まれている現実をオグマは受け入れる事が出来なかった。
「オグマ、遺言は考えたか!!?」
言われて顔を上げたオグマは目を見開いた。
火・氷・雷・風・光・闇そして無。
7つの属性・8つのイクシアが自身に向かって殺到していたからだ。
「ぬおおおおおお!!!」
閃光と爆風。
煙が晴れると、オグマの立っていた所にはちょっとしたクレーターが出来上がっていた。
「やったか!!?」
「いえ、転移術で逃げられたようね」
「そうか……」
リナの言葉にそう返してレイジはその場に大の字に寝ころんだ。
「とりあえず現状を説明してくれ。わからない事が多すぎる」
「俺も同感だな」
「では宿舎に戻りましょう」
「異議なし」
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「ああ、ありがとうレミ」
「兄様……」
「すまないサヤ」
2人の兄が妹の肩を借りて歩き出す。